2/23の検定試験では要注意!消耗品の整理

 

費用・収益の繰り延べ・見越しの考え方や会計処理方法は以前の投稿記事(簿記・虎の穴 #13損益の整理その1 #14損益の整理その2)で書いた通りなのだが、これに付随してよく出題されるのが「消耗品」の整理である。

例えば、消耗品¥20,000を現金で購入したとしよう。
このとき、「消耗品費」という費用勘定で処理した場合の仕訳は次のようになる。

(借方)消耗品費 20,000 /(貸方)現 金 20,000

でもって、決算時に消耗品の在庫を調べたら¥5,000分の消耗品が未使用だった……という場合、どのような会計処理を行えば良いのだろうか。

当然、この未使用分の消耗品は「使っていない」のだから当期の費用にするわけにはいかない。
そこで、この未使用分を次期に繰り延べるために、消耗品費勘定から消耗品勘定(資産)へ振替えるの必要があるのだ。

ちなみに「消耗品費」は費用勘定で、「消耗品」は資産勘定だから混同しないように気をつけよう。
また、実務では消耗品の代わりに「貯蔵品」という資産勘定を用いるケースが多い。

したがって、未使用分の¥5,000を次期に繰り延べる振替仕訳は次のようになる。

(借方)消耗品 5,000 /(貸方)消耗品費 5,000

そう、ここまでは費用・収益の繰り延べと全く同じ考え方・会計処理方法なのだ。
では、次の仕訳のように消耗品の購入時に「消耗品」という資産で処理した場合はどうだろうか?

(借方)消耗品 20,000 /(貸方)現 金 20,000

この場合、このまま放っておくと1円も当期の費用にはならない。
なぜなら、消耗品は資産勘定なので、放っておくとそのまま全額が次期繰越で翌期に繰り越されてしまうのである。
そこで、先程とは逆に、今度は「使った分」を当期の費用に振替える必要があるのだ。

¥20,000円の消耗品を購入して、期末に¥5,000分が未使用だったということは、差し引き¥15,000分の消耗品を消費したということになる。
したがって決算時の修正仕訳を次のように行えば良い。

(借方)消耗品費 15,000 /(貸方)消耗品 15,000

これでめでたく「使った分」の¥15,000を当期の費用として計上することができるのである。
このように、購入時に「消耗品費」という費用勘定で処理しているのか、「消耗品」という資産勘定で処理したのかによって決算時の修正仕訳が変わってくるのである。

それでは、この考え方を応用した次の問題を考えてみよう。

【問題】
11月1日に向こう6ヶ月分の保険料¥6,000を現金で支払った。12月31日、決算につき必要な仕訳を行いなさい。なお、当社は保険料を支払った際に「前払保険料」勘定を用いて処理している。

どうだろうか?
この会社は11月1日に保険料を支払った際に次のような仕訳を行っている。

(借方)前払保険料 6,000 /(貸方)現 金 6,000

ということは、先の消耗品と同じで、このまま放っておくと1円も当期の費用にならない。
そこで、当期の費用にすべき分(2ヶ月分:¥2,000)を「前払保険料」という資産勘定から「支払保険料」という費用勘定に振り替えなければならないのだ。
したがって、解答は次の仕訳になる。

(借方)支払保険料 2,000 /(貸方)前払保険料 2,000

ちなみに、支払保険料勘定に振り替えなかった前払保険料の残高¥4,000(4ヶ月分)は、資産勘定なのでそのまま次期繰越で翌期に繰り越される。

もし、この問題が保険料の支払い時に「支払保険料」という費用勘定で処理されていたなら、決算時の修正は次のようになっていたはずだ。

(借方)前払保険料 4,000 /(貸方)支払保険料 4,000

このように、支払い時に資産勘定で処理しているのか、費用勘定で処理しているのかによって決算時の修正が変わるのである。

特に日商簿記検定試験の3級や2級では、このような“ちょっとした応用問題”が引っ掛け問題として出題されやすい。

来週末(2/23)の試験で出題されるかどうかは分からないが、精算表の問題に消耗品がある場合は注意しておいて欲しい。

 

※この記事は簿記塾オッジの公式メルマガ「オッジ通信2013年6月21日号」に掲載された記事を加筆・修正したものです。

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