簿記・虎の穴 #12 貸倒引当金の問題で間違えやすい2つのポイントとは?

 

やぁ、こんにちは。
最初に断っておくと、今回は貸倒引当金の考え方や計算方法の話じゃぁないんだ。

これらの解説はテキストやインターネット上に読み切れないほどあることだし、改めて解説したところで「またか…」って感じで面白味に欠ける。
そこで簿記・虎の穴らしく(?)、みんなが必ず間違える「間違えやすいポイント」について話をしようと思う。

次の一連の設問を見て欲しい。
間違わずに仕訳が切れるかな?

【設問1】平成×2年3月31日、決算に際し期末の売掛金残高100,000円に対して貸倒引当金を3%設定する。なお、貸倒引当金残高は1,000円である。

うん、これは簡単だね。
まず、貸誰引当金の繰入額は100,000×3%-1,000=2,000円となるね。
仕訳は次の通り。

(借方)貸倒引当金繰入 2,000 /(貸方)貸倒引当金 2,000

では、次。

【設問2】平成×2年5月1日、前期に発生した売掛金残高100,000円のうち、500円が貸倒れとなった。

仕訳はどうなるかな?
そうだね、売掛金が回収不能となったワケだから、まずは売掛金の減少だ。
それから、この売掛金については前期末決算時に貸倒引当金を設定していたので、貸倒引当金の取り崩しも行なっておくんだったね。
したがって仕訳は次の通り。

(借方)貸倒引当金 500 /(貸方)売掛金 500

うん、ここまでは問題ナシかな。
では、次。

【設問3】平成×2年7月10日、商品2,000円を掛けで販売した。

これも問題ないね。

(借方)売掛金 2,000 /(貸方)売上 2,000

では、次。

【設問4】1か月後の平成×2年8月10日、上記の売掛金2,000円が貸倒れとなった。なお、この時点での貸倒引当金の残高は2,500円である。

どうかな?

(借方)貸倒引当金 2,000 /(貸方)売掛金 2,000

って仕訳を切った人はいるかな?
…そう、答えは×(バツ)なんだ。

考えてみよう。
そもそもこの貸倒引当金の残高2,500円はどの売掛金に対して設定されていたんだっけ?
そうだね、前期末の決算時における売掛金残高100,000円に対してだね。

それじゃぁ今回貸倒れた売掛金2,000円に貸倒引当金は設定されていたのかな?
そう、設定されていないんだ。

貸倒引当金っていうのは、その会計期間の決算時の残高に対して設定されるものだから、当期に発生した売掛金については貸倒引当金はまだ設定されていないんだね。

ここでよくある間違いは「貸倒れが発生したら無条件に貸倒引当金の残高を取り崩しても良い」って思っている人が多いことなんだ。

考えてみて。
例えば僕が怪我したからって、君の保険を使うことはできないよね。

貸倒引当金も同じなんだ。
貸倒引当金の残高がいくら残っていたとしても、それは前期末の売掛金残高に対するものであって、当期に発生した売掛金に対するものじゃない
だから、売掛金が貸倒れになったからといって何でもかんでも貸倒引当金を取り崩しちゃダメなんだ。

だからこの場合は基本通り貸倒損失として処理しなくちゃいけないんだ。
したがって正解は

(借方)貸倒損失 2,500 /(貸方)売掛金 2,500

となる。
ここが間違えやすいポイントの一つ目なんだ。

それじゃ、次。

【設問5】平成×2年9月20日、設問2で貸倒れとして処理した売掛金500円が当期中に現金で回収することができた。

現金で回収できたのだから、とりあえず借方で現金を増やそう。
それから一度取り崩した貸倒引当金だけど、同じ会計期間中に回収できたということは結果として「貸倒引当金を取り崩す必要がなかった」ということになるので、これを修正する必要があるね。
したがって、

(借方)現金 500 /(貸方)貸倒引当金 500

となる。

この時、貸方科目に「償却債権取立益」っていう科目を使いたがる人がいるけど、この科目は前期以前の過去に貸倒れとして処理した債権が回収できた時に使う勘定科目だから、今回のケースでは該当しないので注意すること。
これが間違えやすいポイントの2つ目だ。

ちなみにこの「償却債権取立益」って勘定科目は、しばらく日商簿記3級の出題区分表から消えていたんだけど、今年の改定で復活したみたいだね。
今度の6月の試験で3級を受ける人はチェックしといたが良いかもね。

出題されるとしたらこんな感じかな。

(問題)前期以前に貸倒れとして処理してあった売掛金10,000円が当期中に現金で回収することができた。

(答え)
(借方)現金 10,000 /(貸方)償却債権取立益 10,000

でも、これじゃ当たり前過ぎるから、僕だったらこんな問題にするけどな。

(問題)前期に貸倒れとして処理してあった売掛金10,000円が当期中に現金で回収することができた。なお、当社は回収時に次の仕訳を行なっている。
(借方)現金 10,000 /(貸方)売掛金 10,000

どう?修正仕訳の問題と組み合わせるとそれっぽいでしょう(^^)

(答え)
(借方)売掛金 10,000 /(貸方)償却債権取立益 10,000

貸倒引当金については話したいことは山ほどあるんだけど、大抵は他所の人がこれでもかってくらいにネットで解説してくれているので気になる人は「貸倒引当金」で検索してみて。

別に丸投げしてるワケじゃないよ(笑)

で、もし余裕があるなら「評価勘定」や「前期損益修正」というキーワードをプラスして検索すると面白いよ。貸倒引当金戻入の意味が解るんじゃないかな。

その他にも「なぜ負債ではないのか」や「負債の定義」ってキーワードで探ると結構勉強になるから、特に1級以上の上級資格を目指している人は是非研究してみてね。

それじゃ、また次回。

Ci vediamo !

 

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