【2級受験者必見】どうなる!?平成28年度から日商簿記の出題範囲が大きく改定されます!今年の受験に影響はあるの?

4月30日、日商簿記検定の公式サイトに「平成28年度以降の簿記検定試験出題区分表の改定等について」というお知らせが掲載されたんだけど、この内容がどえらいことに!!
今までもちょこちょこと細かな改定はあっていたのだけれど、今回のはそれどころじゃない。
特に2級に関しては大幅な見直しがあり、思わず「ウヒョーッ!!」って声が出ちゃったくらいだ。

詳細は日商簿記検定公式サイトで公開されているが、簡単に触れておくと段階的に次のように改定されることになっている。

 

平成28年度から日商簿記2級はこうなる!

日商簿記2級の範囲から削除されるもの

  1. 仕訳帳の分割
  2. 伝票の集計
  3. 保証債務の計上・取崩
  4. 荷為替手形
  5. 特殊商品売買
  6. 繰延資産
  7. 大陸式決算法
  8. 社債
  9. 本支店会計(未達事項の整理・内部利益の除去・本支店財務諸表の合併)

 

日商簿記2級の範囲に段階的に追加されるもの

いろいろと細かな改定が多いため、その中から重要度の高いものをピックアップして紹介しておく。

◎平成28年4月1日から適用

  1. クレジット売掛金
  2. 電子記録債権・電子記録債務
  3. 賞与引当金・返品調整引当金
  4. 有形固定資産の割賦購入
  5. 圧縮記帳(直接控除法)
  6. ソフトウェア(自社利用)
  7. その他有価証券

◎平成29年4月1日から適用

  1. 外貨建取引(為替予約の振当処理を含む)
  2. リース取引(借り手側の処理)
  3. 連結会計

◎平成30年4月1日から適用

  1. 税効果会計

 

簡単に言うとこういうこと

要は、特殊仕訳帳・保証債務の計上・荷為替手形・大陸決算など、いままで2級の出題範囲に入っていたものの、実務でほとんど使われていない又は形骸化している項目を2級の範囲から除外し(または1級の範囲とし)、一方で近年のビジネスに欠かせないクレジット販売や電子記録債権(でんさい)、リース取引、連結、更には企業のグローバル化による外貨建など、実務的に出現頻度の高いものが1級の範囲から2級の範囲へと変更されたというワケだ。
日本商工会議所曰く「検定試験がより昨今の企業活動や会計実務に即した実践的なものとなるように」ということらしい。

簿記を教えている側からすると、今回の改定はキタキタキターーーーー!!!!ってな感じで胸アツな展開なのだ。なぜなら1級範囲の方が教えていて断然面白いし、何と言っても簿記会計の真骨頂だからね。
もちろん、28年度から2級を受験する人にとっては憶えることが多くなって大変だろうけど、現実のビジネススタイルに則した内容なので逆に親しみやすいかもしれない。

実際、特殊仕訳帳や荷為替、大陸式決算なんてものを未だに使っている企業は少ないだろう。
そんな実務で使うか使わないかわからないような会計処理をシコシコと勉強するより、リースや電子記録債権、クレジット販売といった実務でバリバリ使う内容を勉強したほうが受験生本人の利益にもなるというものだ。

 

今年度(平成27年度)の試験への影響は?

これって来年からの話でしょう?私は今年中に2級を受験するから関係ないよ〜♪なんて思ったあなた、そんなことはないんだなぁ、これが。

今回の改定に関して日商簿記検定の公式サイトに次のような記述があるのだ。

なお、平成27年度に適用される区分表に改定事項はありませんが、上記の平成28年度以降に向けた改定に伴い、平成27年度の簿記検定試験においては、(平成27年度から平成28年度にかけて継続的に学習する受験者等を考慮し)平成28年度以降も引き続き当該級の範囲となっている内容を中心に出題することといたします。
(日本商工会議所「平成28年度以降の簿記検定試験出題区分表の改定等について」より)

これって、どういうことかって?
簡単にいうと「現在の試験範囲から先の“日商簿記2級の範囲から削除されるもの”を除外した残りの中から出題するよ〜」ということだ。

というワケで、手元の日商簿記2級商業簿記の問題集の目次を見てみよう。
僕が持っている問題集(段階式 日商簿記ワークブック2級商業簿記 税務経理協会)の目次はこうなっている。

第1回 現金預金
第2回 有価証券
第3回 売掛金
第4回 その他の債権債務
第5回 手形の裏書・割引・不渡
第6回 荷為替・自己受為替手形・更改
第7回 商品有高帳の作成(総平均法)
第8回 仕入割引・売上割引・棚卸減耗損・商品評価損
第9回 未着品売買・委託販売・受託販売
第10回 割賦販売・試用販売・予約販売
第11回 有形固定資産の減価償却・売却・除却・廃棄
第12回 有形固定資産・投資・長期前払費用
第13回 商品(製品)保証引当金・修繕引当金・退職給付引当金
第14回 株式会社の設立
第15回 増資・合併
第16回 純損益の計上と繰越利益剰余金
第17回 社債の発行・利払い
第18回 社債の期末評価・社債発行費等の償却・償還
第19回 株式会社の税金
第20回 本支店間・支店間取引
第21回 未達事項の整理、内部利益の控除
第22回 損益計算書・貸借対照表の合併
第23回 現金出納帳・収入帳・支払帳
第24回 当座預金出納帳
第25回 仕入帳
第26回 売上帳
第27回 普通仕訳帳
第28回 伝票の集計・転記
第29回 試算表兼用元帳
第30回 決算整理
第31回 精算表
第32回 帳簿の締切り・繰越試算表・修正後試算表
第33回 損益計算書・貸借対照表・株主資本等変動計算書

これから先の“日商簿記2級の範囲から削除されるもの”を除外してみると……

第1回 現金預金
第2回 有価証券
第3回 売掛金
第4回 その他の債権債務
第5回 手形の裏書・割引・不渡
第6回 荷為替・自己受為替手形・更改
第7回 商品有高帳の作成(総平均法)
第8回 仕入割引・売上割引・棚卸減耗損・商品評価損
第9回 未着品売買・委託販売・受託販売
第10回 割賦販売・試用販売・予約販売
第11回 有形固定資産の減価償却・売却・除却・廃棄
第12回 有形固定資産・投資・長期前払費用
第13回 商品(製品)保証引当金・修繕引当金・退職給付引当金
第14回 株式会社の設立
第15回 増資・合併
第16回 純損益の計上と繰越利益剰余金
第17回 社債の発行・利払い
第18回 社債の期末評価・社債発行費等の償却・償還
第19回 株式会社の税金
第20回 本支店間・支店間取引
第21回 未達事項の整理、内部利益の控除
第22回 損益計算書・貸借対照表の合併
第23回 現金出納帳・収入帳・支払帳
第24回 当座預金出納帳
第25回 仕入帳
第26回 売上帳
第27回 普通仕訳帳
第28回 伝票の集計・転記
第29回 試算表兼用元帳
第30回 決算整理
第31回 精算表
第32回 帳簿の締切り・繰越試算表・修正後試算表
第33回 損益計算書・貸借対照表・株主資本等変動計算書

えらくスッキリしちゃたねー!!
このように日商簿記検定公式サイトの記述を考慮すれば、どこの箇所を優先的に勉強すべきかがわかっちゃう!
……と、ここで「ラッキー!今年は楽勝じゃん!!」などと浮かれてはイケナイ(-_-)
学習範囲が少ないといういうことは、その分、深く掘り下げられた設問が出題される可能性大なのだ!

当然、平成27年度の日商簿記2級は単純な丸暗記やうろ覚えの知識では到底対応できない内容になること必至だ。
そのことを心に刻んで学習に取り組まなければならないゾ!!

この点については今後も当ブログやメルマガで引き続き考察していきたいと思うので、受験予定者はちょこちょこチェックしてみるといいことがあるかも……です。

 

最後に、今回の改定についての詳しい情報は下記のURLから確認できます。

◎平成28年度以降の簿記検定試験出題区分表の改定等について