ブログで学ぶ〜日商簿記2級チャレンジ

ブログで学ぶ〜日商簿記2級チャレンジ #35 有形固定資産の割賦購入

有形固定資産の取得方法には一括購入の他にも自家建設や現物出資、交換、贈与という方法がある。
簿記検定3・2級では一括購入のケースがほとんどなのだが、これとは別に注意しておかなければならないのが割賦購入だ。

有形固定資産の割賦購入とは?

有形固定資産を分割払いで購入することを割賦購入という。
割賦購入場合、その支払総額は一括払いで購入した場合よりも高くなるのが一般的だ。例えばA機械を現金一括払いで購入する場合の支払総額は¥600,000で、12回の分割払いだと¥618,000になるといった具合である。
そして重要なのが、この時の差額¥18,000は利息的な性格を有しているため、原則として有形固定資産の取得原価に含めずに区分して処理することになる点だ。

さて、上記で「利息的な性格」という言葉を使ったが、この意味がピンとこない人もいるかもしれない。そのような場合は次のように考えてみてはどうだろうか。

例えば、あなたが取引先に¥600,000の商品を売却したとする。
代金を一括で支払ってもらえるのであれば、受け取る金額は当然¥600,000だ。しかし、相手が12回の分割を希望している場合、あなたは商品代金¥600,000を単純に12回で割った月々¥50,000の支払いで良しとするだろうか?

私だったらそんなことはしない。
もし一括払いで受け取った¥600,000を年利3%の銀行預金に預けたとしたら、12ヶ月後にいくらになるだろう?
そう、¥600,000×(1+0.03)=¥618,000になるはずだ。
つまり現時点での¥600,000は12ヶ月後には¥618,000の価値になるのである。

もし、代金¥600,000を単純に12回で割った月々¥50,000の支払いとした場合、12ヶ月後までに受け取る総額は¥600,000。銀行に預けた場合の受取総額¥618,000と比較して利息の分¥18,000を損をすることになるのだ!

したがって一括で支払ってもらえるのであれば¥600,000でOKだが、分割ならば支払い総額が12ヶ月分の利息込みの¥618,000になるようにするのが理にかなっているだろう。

ただし、同じ固定資産の取得原価が支払い方法の違いによって異なるというのもおかしな話しである。
同じ固定資産である以上、一括支払いであっても分割払いであっても、その価値は同じでなければ公平性を欠くというものだ。
そこで、分割購入の場合は有形固定資産の取得原価に分割購入による利息部分を含めずに区分して処理することを原則としているのである。

具体的な仕訳例

仕訳はハッキリ言って全く難しくないので安心してよい。
気をつけるのは“現金正価(げんきんせいか)”という言葉くらいだが、これは現金一括購入の場合の金額を指す言葉である。
次の例題で購入時と決済時の仕訳を確認してみよう。

◎例題

1)購入時

機械装置を10回の割賦で購入し、支払総額¥206,000の約束手形(¥20,600の手形×10枚)を振り出した。なお、この機械装置の現金正価は¥200,000である。利息部分と有形固定資産の取得原価とは区分して処理する方法によること。

[仕訳]

(借方)機械装置     200,000
(借方)前払費用※     6,000
(貸方)営業外支払手形※ 206,000

[解説]

機械装置の取得原価は現金正価の¥200,000とし、利息部分は前払費用とする。
ちなみに利息部分を支払利息として計上したいところだが、購入時点では利息の発生期間が未経過のため支払利息とはせずに一旦「前払費用」として処理しておく。←ここがポイント!
その後、前払費用は決済時または決算時に経過期間分(当期対応分)を支払利息へ振替処理をすることになる。
他にも通常の営業取引以外で生じた約束手形の振出しには営業外支払手形勘定を用いること!ここも気をつけておきたいポイントだ。

2)決済時

1回目の支払い期日が到来し、約束手形¥20,600が当座預金口座から決済された。あわせて利息部分を定額法にて配分する。

[仕訳]

(借方)営業外支払手形 20,600
(貸方)当座預金    20,600
(借方)支払利息      600※
(貸方)前払費用      600

[解説]

手形代金の決済と同時に、経過利息分を前払費用から支払利息へと振り替える。金額の計算は定額法(均分法ともいう)のため、単純に¥6,000÷10回=¥600と計算すれば良い。

おまけの話し

簿記(会計)というのは企業の取引を貨幣価値に換算して記録・計算・整理する記帳技術である。
そして『貨幣価値=お金』を取り扱う以上、貨幣に対する現在の価値と1年後・2年後といった将来の価値との差額(これを金利調整差額という)の話しは切っても切れないモノなのだ。

市販の3・2級のテキストや参考書では金利調整差額のことについて(一部の項目を除いて)詳しく解説してあるものが少ないため、今回の処理について難しいと感じた人も多いかもしれない。

確かに言葉だけ聞くと何だか難しそうに聞こえるかもしれないが、要は「今、手元にある10万円を年利3%の預金にあずけると1年後にいくらになるのか?」を考えているだけなのだ。
または「10万円を年利3%で12回払い(12ヶ月返済)の条件で借りた場合、12ヶ月後の支払総額はいくらになるのか?」といった方がわかりやすいかもしれない。

簿記を学んでいると難しそうな用語にちょくちょく出会うが、その実は大したことを言っているワケではない。身近な例でたとえると「あぁ、あのことね!」というものばかりなので、身構えずに気軽に考えてみてほしい。

それでは最後に日商検定の公式ウェブに掲載されているサンプル問題を紹介しておこう。具体的な取引で仕訳の処理手順を確認しておいて欲しい。(参照元:商工会議所の検定試験 https://www.kentei.ne.jp/sample_list

[サンプル問題1]
静岡商店は、X1年11月1日に営業用軽トラック(現金販売価額¥1,200,000)を割賦契約で購入した。代金は毎月末に支払期限の到来する額面¥250,000の約束手形5枚を振り出して交付した。

[サンプル問題2]
X1年11月30日 静岡商店は上記約束手形のうち、期日の到来したものが当座預金口座より引き落とされた。

【解答】

[サンプル問題1]

(借方)車両運搬具   1,200,000
(借方)前払費用      50,000
(貸方)営業外支払手形 1,250,000

[サンプル問題2]

(借方)営業外支払手形 250,000
(貸方)当座預金    250,000
(借方)支払利息     10,000
(貸方)前払費用     10,000