ブログで学ぶ〜日商簿記2級チャレンジ #38 日商簿記検定2級の外貨建換算会計

日本の企業が外国で取引を行った場合、取引そのものにはドルやユーロを用いることになるが、財務諸表上ではそれらを“”に換算して表示をしなければならない。
これを外貨建換算という。

日商簿記検定2級の出題範囲としては主に外貨建による営業取引(仕入や売上の処理)と外貨建の売上債権・債務(売掛金・買掛金)の決算時の換算がメインとなる。

今回はこの外貨建換算の基本的な内容をチェックしてみよう。

輸入時・輸出時の会計処理

外貨建取引は原則として“取引発生時の為替相場”で換算する。
例としてアメリカの企業から100ドルの商品を輸入(仕入)し、支払を掛けとした場合のことを考えてみよう。
まず、仕訳をドル表示のままで行うと次のようになるだろう。

(借方)仕 入 100ドル
(貸方)買掛金 100ドル

しかし、これでは金額がドルのままなので、そのままでは当社の帳簿に計上することができない(日本の企業は円表示だからね)。そこでドルを円に換算しなければならないわけだ。
さて、この取引時の為替相場が1ドル90円だったとすると、上記の仕訳は次のようになる。

(借方)仕 入 9,000
(貸方)買掛金 9,000

このようにドルを取引時の為替相場で円に換算するのである。
もちろん、商品の輸出時(販売時)も同様に処理すれば良い。

[例題]アメリカの企業A社に200ドルで商品を輸出し、支払いは掛けとした。なお、取引時の為替相場は1ドル90円である。

(借方)売掛金 18,000
(貸方)売 上 18,000

どうだろうか、外貨換算といっても取引時の為替相場でドルを円に換算するだけなので、基本的には難しいことなんかこれっぽっちも無い。

前払金や前受金がある場合は要注意!!

前払金を支払ったり前受金を受け取っている場合、当然だが、これらもその取引時の為替相場で換算することになる。
ところがこれが曲者で、その後の商品の仕入時や売上時の仕訳に注意が必要となるのだ!!
その注意点を次の例題で確認してみよう。

(1)×1年2月10日、アメリカのB社から商品100ドルを輸入する契約をおこない、手付金として50ドルを現金で支払った。取引時の為替相場は1ドル90円である。

この時の手付金50ドルは「50ドル×90円=4,500円」として換算されるため、仕訳は次のようになる。

(借方)前払金 4,500
(貸方)現 金 4,500

ここまではOKだろうか。では、続けて……

(2)×1年3月15日、当社は上記B社から100ドルの商品を輸入した。支払いは前払金50ドルを充当し、残額は掛けとした。取引時の為替相場は1ドル85円である。

この時、単純に仕入金額100ドルを「100ドル×85円」と換算してしまうと不正解となるので注意が必要だ。
今回のように前払金がある場合は仕入を100ドル×85円として直接計算するのではなく、前払金(50ドル×90円=4,500円)と買掛金(50ドル×85円=4,250円)の合計で計算しなければならないのだ!
したがって、仕訳は次のようになる。

(借方)仕 入 8,750
(貸方)前払金 4,500
(貸方)買掛金 4,250

このように前払金を計上した時と買掛金を計上した時とでは為替相場が異なるため、今回の例題のように仕入金額の計算には十分に気を付けなければならない。
あくまで前払金の帳簿上の金額は4,500円である点を忘れないように!!
もちろん、前受金がある場合も同様だ。

決済時には為替差損益が生じる

今回の例題のように商品を掛けで売買している場合、買掛金や売掛金はその取引発生時の為替相場で換算される。
その後、これらの買掛金や売掛金が決済されると、当然のことながら、それらの決済金額は決済時の為替相場で換算されることになる。

そう、取引時と決済時の為替相場が異なれば、当然、その換算差額が生じるのだ!

そして、この換算差額は為替差損益(または為替差損と為替差益とに分けても良い)として営業外費用または営業外収益として処理されるのである。

では、再び例題で確認しておこう。

(3)先の買掛金4,250円(50ドル、換算時の為替相場1ドル85円)を現金で支払った。決済時の相場は1ドル82円である。

(借方)買掛金   4,250
(貸方)現 金   4,100※
(貸方)為替差損益  150

※支払った現金は原則通り取引時の為替相場1ドル82円で換算しなければならない。すると、帳簿上の買掛金4,250円と支払額4,100円との差額150円が生じることになる。
これは為替相場の変動によって生じた差額なので、差額を為替差損益(または為替差益)として処理するのである。

このように為替相場というのは常に変動しているため、外貨建の売掛金や買掛金といった売上債権・債務の価値も為替変動に応じて常に変動することになる。
外貨建会計ではこの点を意識して解答にあたるよう心がけて欲しい。

取引時と決済時の間に決算を挟む場合にも要注意!

取引時と決済時の間に決算を挟む場合、外貨建ての買掛金・売掛金の残高は決算時の為替相場で換算して財務諸表を作成しなければならない。
なぜなら、取引時に一旦換算した買掛金・売掛金であっても、為替変動によってその価値は変動しているはずだからだ。したがって、決算時における買掛金・売掛金の価値を適切に表示するためにも、決算時には決算時の為替相場で再度換算し直して帳簿価額を修正する必要があるのだ。

もちろん、この場合の差額も為替相場の変動による差額なので、先と同様に為替差損益(または為替差損・為替差益)として処理すれば良い。

[例]決算のため、外貨建ての買掛金・売掛金の換算替えを行う。外貨建ての買掛金・売掛金の詳細は次の通り。なお、決算時の為替レートは1ドル100円である。

・買掛金300ドル(取引時の為替相場1ドル85円、帳簿上の金額25,500円)
・売掛金200ドル(取引時の為替相場1ドル90円、帳簿上の金額18,000円)

◎買掛金の換算替えの仕訳

(借方)為替差損益 4,500
(貸方)買掛金   4,500

(300ドル×100円)-25,500円=4,500円

◎売掛金の換算替えの仕訳

(借方)売掛金   2,000
(貸方)為替差損益 2,000

(200ドル×100円)-18,000円=2,000円

※なお、決算時には資産・負債のうち貨幣項目に該当するものを決算時の為替相場で換算することになっているが、この論点については1級の学習内容となるため今回は割愛させてもらっている。機会があれば改めて解説するつもりだ。

まとめ

◎外貨建取引は原則として取引発生時の為替相場で換算する。

◎前払金や前受金がある場合は、仕入・売上の金額の計算に注意が必要!

◎取引時と決済時の為替相場の変動は為替差損益として処理する。

◎決算時における外貨建の営業債権・債務は決算時の為替相場で換算し直す。この際、帳簿価額と換算額との差額は為替差損益として処理する。