貸倒引当金戻入の取り扱いが変更されたって聞いたんだけど、日商簿記検定での取り扱いはどうなるの?

 

貸倒引当金の問題を解いていると「貸倒引当金戻入益」って勘定科目が出てくることがある。
貸倒引当金繰入は知っているけど、これって何だろう?
……ってなワケで、今回は「貸倒引当金戻入益」の補足記事だ。

以前までの貸倒引当金戻入の取り扱い

貸倒引当金戻入っていうのは、前年度の決算時に計上した貸倒引当金の引当額が、実際に発生した回収不能額より大きかった際に計上される「利益」のことである。

もう少し具体的な言い方をすると……

「前年の決算時に見積計上した貸倒引当金の繰入額(費用)¥10,000は、今年になって実際に発生した貸倒れ¥8,000よりも¥2,000多過ぎました。
有り体に言えば、見積もり計算が甘かったということです。
したがって、昨年の繰入額¥10,000を¥8,000に修正したいのですが、既に決算で確定してしまった過去の数字を、新し会計年度となった今になって直接修正するわけにもいきません。
したがって、今年は“その多過ぎた分(過大計上分)”の¥2,000を戻入益(収益)として多めに計上しますね。」

というコトなのである。

つまり、過去に過大計上してしまった費用を修正するために、今度は逆にその分だけ多めに収益として計上することで、通算してプラス・マイナス・ゼロにしてしまおうという考え方なのである。

このように前年度に過大計上した費用を訂正するために、今年度にその分の多めの収益を計上するという修正方法(考え方)を「前期損益修正」という。

また、過年度の損益修正はその性格上、特別な損益という意味で損益計算書の「特別利益」の区分に表記していたのである。

そう、「過去形」なのだ。

 

変更された貸倒引当金戻入の取り扱いとは?

ご存知の方もいるだろうが、過年度遡及会計基準の適用により平成23年3月29日付で「金融商品会計に関する実務指針」が改正され、貸倒引当金戻入益は「過年度の修正とは考えない」ことになった。

したがって、今までの特別利益から原則として「営業費用又は営業外費用から控除するか、営業外収益として取り扱う」ことになったのである。

もちろん、これは日商簿記検定試験でも適用される。
とは言うものの、現在、貸倒引当金戻入益は1級の範囲となっているので、3級・2級の受験予定者は安心して欲しい(※1級の人は気を付けてね!)。

ただ、厄介なのは実務をやっている人だろう。

先の説明通り、金融商品会計に関する実務指針では「過年度遡及会計基準の適用により、貸倒引当金戻入益は原則として営業費用又は営業外費用から控除するか、営業外収益として取り扱うってこと」となっている。

ところが、もう一つの実務指針である「中小企業の会計に関する指針(平成24年版)」では、“貸倒引当金戻入益の表示は特別利益に表示すること”となっているのだ。

そう、「金融商品会計に関する実務指針」と「中小企業の会計に関する指針」では、表示する区分が違うのである。

なぜ?

これにはイロイロと理由があるのだけれど、要は「過年度遡及会計基準っていうのは新しい会計基準なので、これが広く企業に浸透するのには時間がかかるだろうから、会計処理の負担を軽くするためにも中小企業は特別に従来のやり方でもいいよ……」ってことなのだ。

したがって、中小企業は従来通り「特別利益」として処理して良いことになっているので、会計職に就いている人は注意しておこう。

 

まとめ

最後は少々専門的な話になってしまったが、日商簿記検定試験的には「損益計算書での表示区分が変更になったので気を付けてね」って位に憶えておけばOKだ。

※この記事は簿記塾オッジの公式メルマガ「オッジ通信2013年5月31日号」に掲載された記事です。
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