ブログで学ぶ~日商簿記2級チャレンジ #08 仕入割引・売上割引
仕入・売上の値引きと返品は既に3級で学習済みだが、2級ではこれに割戻しと割引が追加される。
特に割引の処理は本試験でもよく出題されるので注意が必要だ。
割戻しとは?
割戻しとは「契約に基づく値引き」のことである。
一定期間に一定金額を超えて商品を購入した際に、契約に基いて行われる値引きのことでリベートとも言う。
要は値引きなので、3級で学習した値引き・返品と同様に、仕入時や売上時の逆仕訳で対応しておけばOKだ。
具体例で確認しておこう。
[例題]天草商店は、得意先の大分商店に対する当期の売上が割戻基準額を超過したため、掛代金から¥50,000の割戻しを行うとともに、大分商店に通知した。
【天草商店の仕訳】
(借方)売上 50,000 /(貸方)売掛金 50,000
【大分商店の仕訳】
(借方)買掛金 50,000 /(貸方)仕入 50,000
割引には要注意!
このブログを読んでいる人の中にも、割引のことを単なる“値引きの一種”だと思っている人もいるのではないだろうか?
ところが、割引というのは値引きや割戻しとは根本的な考え方が異なるため、会計処理方法が値引きや割戻しとは異なるだ。
割引とは何なのか?
割引について、あなたの手許のテキストには「商品の代金を早期に決済した場合に、代金の割引を通じて売手が買手に与える特典」と説明してあるハズだ。
これは「売掛金を早めに決済してくれれば、掛代金の支払いを一定の利息の分だけ免除してあげるよ」という意味なのである。
実は割引という言葉は利息の話しと深~い関係がある。
例えば今現在、手許に持っている現金10,000円を年利5%の預金に預けたとしよう。
すると一年後には利息が加わり、預金の額は10,500円(10,000×1.05)になるはずだ。
ちなみに、今現在の10,000円のことを現在価値、一年後の10,500円のことを将来価値と呼ぶ。
では、同じ条件で一年後の将来価値を21,000円にするには、今現在いくら預け入れればよいのだろうか?
預ける金額をY(ワイ)として、次の算式を使えば計算できる。
Y×1.05=21,000
Y=21,000÷1.05=20,000
上記の計算から、答えは20,000円。
今現在、20,000円を預ければ、一年後に21,000円にすることができることが判る。
このように、将来価値から現在価値を算定することを我々は割引計算と呼んでいる。
そう、割引とは利息の計算を意味する言葉だったのである。
割引の考え方と処理方法
掛取引の場合、掛代金には取引日から代金の支払日までの利息を含めるのが一般的だ。
例えば、商品代金100,000円(利率は年3%とする)で支払日が3ヶ月後のケースであれば、掛代金は100,000+(100,000×0.03×3ヶ月/12ヶ月)=100,750円となる。
そこで、この売掛金を支払期日前に支払ってもらえるのであれば、利息の一部を免除するという条件の契約を結ぶのである。
この契約によって実施される利息の一部免除を「売上割引(買い手側は仕入割引)」と呼ぶのである。
割引によって免除する(される)利息は次の勘定科目で処理される。
◎売り手側:売上割引勘定(費用)※支払利息と同じ意味
◎買い手側:仕入割引勘定(収益)※受取利息と同じ意味
※売上割引は費用の勘定、仕入割引は収益の勘定となる。
単語のイメージが逆っぽいので間違える人続出の科目なので要注意だ!
[例題]八代商店は水俣商店に対して、商品¥500,000を掛売りし、その際の条件として代金決済は1か月後、もし14日以内に支払えば代金の3%を割引くことにしていた。
5日後、水俣商店は、この掛取引の代金を小切手を振り出して支払った。
【八代商店の仕訳】
(借方)現金預金 485,000 /(貸方)売掛金 500,000
(借方)売上割引 15,000
【水俣商店の仕訳】
(借方)買掛金 5000,000 /(貸方)現金預金 485,000
_____________(貸方)仕入割引 15,000
まとめ
◎返品・値引き・割戻し → 仕入時や売上時の逆仕訳で処理
◎割引 → 売上割引(費用)や仕入割引(収益)で処理
割引だけ考え方や処理方法が異なるため、割戻し等と混同しないように注意が必要だ。
「割引だけは別処理」と憶えておこう。
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