ブログで学ぶ〜日商簿記2級チャレンジ #12 特殊商品売買〜受託販売〜
委託する側がいれば、当然、受託する側がいる。
受託する側はこれを受託販売という。
この二つは表裏一体なので委託販売とセットで学習するのがベストだ。
受託販売とは?
受託販売では委託された商品を“委託者の名において(委託者に代わって)”販売を行うため、委託された商品の販売により発生する費用と収益は全て委託者に帰属することとなり、受託者側に発生する損益は「受取手数料」や「(受取り)保管料」となる。
受託販売の学習ポイントをまとめると次の通り。
預かった商品の売上は委託者の売上であり、受託者の売上ではない。
商品は預かっただけなので、受託者の仕入にはならない。
受託販売にかかる諸経費はすべて委託者持ちであり、受託者の費用として処理をしない。
そして、最大のポイントはコレ!
委託者に対する債権債務は「受託販売」勘定を用いて処理をする。
受託販売勘定とは委託者に対する債権(立替金など)・債務(預り金など)を一括して管理するための勘定科目である。
このような債権債務を一括して管理する勘定のことを「混合勘定」と呼び、借方残の場合は債権を、貸方残の場合は債務を表す。
最初は戸惑うが、混合勘定は使い慣れるととても便利な勘定なので是非マスターしてほしい。
具体的な会計処理方法
委託販売と同様に、次の図で流れを確認しながら受託者が行うべき会計処理を確認してみよう。
(1)商品の預り時
特に仕訳は必要ない。ただし、商品の引取手数料等を立て替えて支払った場合は次の仕訳を行う。
(借方)受託販売(立替金のこと) ×× /(貸方)現金預金 ××
(2-1)商品の販売時
お客に対する債権は売掛金等の自社債権として、お客から預った代金は後ほど委託者に送金しなければならない債務(預り金)としてそれぞれ処理をする。
(借方)売掛金 ×× /(貸方)受託販売(預り金のこと) ××
↓ ↓
自社のお客に対する債権 委託者に送金しなければならない債務
(2-2)売上計算書の作成時
商品の販売と同時に売上計算書を作成し、委託者に送付する。
その際に受託者が受け取る受取手数料や保管料を次の仕訳で計上する。
ちなみに金銭の授受は(4)の送金時に決済する。
(借方)受託販売(未収金のこと) ×× /(貸方)受取手数料 ××
_________________(貸方)保管料 ××
(3)代金の回収時
お客から代金を回収。
(借方)現金預金 ×× /(貸方)売掛金など ××
(4)代金の送金時
受託販売勘定の残高を委託者に送金して終了。
これで受託販売勘定の残高はゼロになり、一連の取引が終了する。
(借方)受託販売 ×× /(貸方)現金預金 ××
まとめ
受託販売では委託者に対する債権債務を「受託販売」勘定で処理をするというのが最大のポイントである。
もちろん単に丸暗記で仕訳を憶えるのではなく、本来は“委託者に対する立替金や預り金なのだ”ということを意識して仕訳の練習を行えば、受託販売の処理に関する理解も一層深まることであろう。
また、最初に述べたように委託販売と受託販売は表裏一体の関係なので、これらを別々の設問として考えるのではなく、総合的な視野で捉えるよう心がけよう。
その他にも最近の傾向としては「委託買付」や「受託買付」(依頼されて商品を買い付けること)に関する設問も頻繁に出題されているので注意が必要だ。
基本は委託販売や受託販売と同じ(売るか買うかの違い)なので、取引の流れを丁寧に確認して解答にあたるよう心掛ければ決して難しい内容ではない。
この手の設問は各出版社の総合問題集にも必ず掲載されているので確認しておこう。
練習問題
(1)熊本商店は、福岡商店より販売を委託された商品(売価¥900,000)および自社の商品(売価¥500,000)を、鹿児島商店に売り渡し、代金のうち半額を現金で受け取り、残額は掛けとした。
(解答・解説)
(借方)現 金 700,000 /(貸方)受託販売 900,000
(借方)売掛金 700,000 /(貸方)売 上 500,000
委託された商品の販売については受託販売勘定(この場合は預り金の意味)で処理しなければならない。
自社の商品は通常通り自社の売上(収益)として処理する。
(2)長崎商店より、次の買付計算書とともに商品の送付を受けた。なお、長崎商店に対する債権・債務は委託買付勘定を用いて処理する。
◎買付計算書
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
買付金額 スニーカー 100足 @¥9,000 ¥900,000
買付諸掛
・支払運賃及び保険料 ¥30,000
・保管料 ¥20,000
・買付手数料 ¥90,000 (小計) ¥140,000
──────────────────────────
買付代金合計 ¥1,040,000
手付金額 ▲¥400,000
──────────────────────────
差引請求金額 ¥640,000
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(解答・解説)
(借方)仕入 1,040,000 /(貸方)委託買付 1,040,000
商品代金¥900,000に買付諸掛(=仕入諸掛)¥140,000を加えた¥1,040,000が仕入総額となる。
また、設問には代金を支払ったとは一言も書いてないため、掛け取引を行っていると考える。
以上の条件で仕訳を行うと次のようになるはずだ。
ちなみに、長崎商店に対する債権・債務は委託買付勘定を用いるという指示になっていることに注意。
(借方)仕入 1,040,000 /(貸方)委託買付(買掛金) 1,040,000
さて、買付計算書を見ると買付代金合計から手付金額¥400,000を差し引いた¥640,000が請求金額となっていることに気が付いただろうか?
これは、当社が買付けを委託した時に手付金¥400,000を支払っていたということを意味する。
ということは、当社はその際に次の仕訳を行っていたはずだ。
(借方)委託買付(前渡金) 400,000 /(貸方)現金預金など 400,000
したがって、本来の商品仕入時の仕訳は次のようになる。
(借方)仕入 1,040,000 /(貸方)委託買付(前渡金) 400,000
____________(貸方)委託買付(買掛金) 640,000
あとは貸方の委託買付勘定をまとめて解答の仕訳にすればOKだ。
※参考問題集:段階式日商簿記ワークブック2級 税務経理協会
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