ブログで学ぶ~日商簿記2級チャレンジ #19 社債

社債の学習ポイントとは?

社債とは企業が資金を調達するために発行する債券のことである。
また、社債は満期に額面金額を償還する前提で、満期までは定期的に社債利子(クーポン)を支払うことになっている。
社債を発行する企業側からみれば将来の返済義務を伴うため、これを社債勘定(負債の勘定)で処理をする。

社債の学習ポイントは決算時における償却原価法による帳簿価額の修正であろう。
日商簿記2級の場合、社債は割引発行(額面金額より低い価額で発行すること)で出題されるケースが殆どのため、決算時に帳簿価額の修正が必要となるのだ。
ちなみに償却原価法そのものは有価証券の一種類である「満期保有目的債券」で既に学習済みだが、忘れている人はこの機会にもう一度復習しておいて欲しい。

参考記事:ブログで学ぶ~日商簿記2級チャレンジ #03 有価証券の期末評価

 

社債の発行時と利払日の仕訳

実際にどのように帳簿価額を修正するのかを次の例題で確認してみよう。

[例題]熊本株式会社は、期首に次の条件で社債額面総額¥1,000,000を発行し、払込金を当座預金とした。
償還期限:5年 年利率:3%(利払い3月末と9月末) 払込金額 @¥95

【発行時の仕訳】

(借方)当座預金 950,000※ /(貸方)社債 950,000
※1,000,000×@95/@100=¥950,000

【利払日の仕訳】

(借方)社債利息 15,000※ /(貸方)当座預金 15,000
※1,000,000×3%×6ヶ月/12ヶ月=¥15,000

社債は満期まで定期的に社債利子(クーポン)を支払う約束で発行するので、当然利払日になれば社債利子を支払わなければならない。
社債利子は額面金額に対して計算される点に注意する。(※払込金額と混同しないように注意すること!)

※補足
利息の計算は本来“日割り”で計算するが、日商簿記2級の場合は特に指示がなければ月割り”で計算する。

 

償却原価法による修正額の計算方法

社債の帳簿価額は決算時に次の仕訳で修正する。

(借方)社債利息 10,000※ /(貸方)社債 10,000

これは発行価額¥950,000の社債(負債)を5年後に満額の¥1,000,000で償還(返済)しなければならないため、社債の帳簿価額もそれにあわせて5年間(60ヶ月)かけて¥950,000→¥1,000,000へと修正する必要があるためだ。
そこで、次の計算式で修正額を計算する(償却原価法)。

(1,000,000-950,000)×12ヶ月/60ヶ月=¥10,000

なお、償却原価法には定額法利息法という二通りの計算法があるが、簿記検定2級までは発行価額と額面金額との差額を均等割りする定額法が出題される。
また、定額法は月割計算となるので注意が必要だ。上記の例では期首に発行しているので12ヶ月/60ヶ月として計算しているが、期中に発行している場合は下記例のように発行月から決算日までの月数を数えて○ヶ月/60ヶ月として計算しなければならない。

(例)10月1日に上記の社債を発行した場合(決算日は3月31日)

修正額=(1,000,000-950,000)×6ヶ月/60ヶ月=¥5,000

そして(ここが重要な箇所なのだが)、償却原価法による簿価の修正額は利息の性格を有しているため、借方側で社債利息勘定(費用の勘定)を用いる点に注意が必要だ。
簡単に言えば、¥950,000を借りて5年後に¥1,000,000で返済するのだから、差額の¥50,000は支払利息(社債利息)だと考えるのである。

 

決算時に忘れがちなもう一つの注意点~利払日と決算日が異なる場合

社債の利払い日と決算日がズレている場合は、前回の利払い日の翌日から決算日までの社債利息の未払い分を計上しなければならない。
この処理を忘れる人が多いので注意すること!

(借方)社債利息 ××× /(貸方)未払社債利息 ×××

 

定番の出題パターン!~買入償還

買入償還とは満期日前に社債市場から時価で買入れて償還することで、簡単に言えば借金の早期返済のようなものである。
買入償還の設問が出題された場合、計算ポイントは買入償還時の「社債の簿価」が正しく計算できるかどうかである。

[例題]
名古屋商事株式会社(年1回9月末日決算)は、平成11年10月1日に、社債額面総額¥40,000,000を額面¥100につき¥98で買入償還し、代金は小切手を振り出して支払った。この社債は、平成8年10月1日に、額面総額¥100,000.000を額面¥100につき¥93、償還期間5年で発行したものである。(「段階式日商簿記ワークブック2級商業簿記 税務経理協会」より出典)

[解答・解説]
発行したのが平成8年10月1日で、買入償還したのが平成11年10月1日。
したがって過去に3回(36ヶ月分)償却原価法(定額法)にて簿価を修正していることになる。よって、平成11年10月1日時点の社債の帳簿価額は次のように計算すれば良い。

◎償却原価法による簿価の修正額
(100,000,000-93,000,000※)×36ヶ月/60ヶ月=¥4,200,000
※100,000,000×@¥93/@¥100=¥93,000,000

◎平成11年10月1日時点の社債の帳簿価額
93,000,000+4,200,000=¥97,200,000

◎買入償還する社債の帳簿価額

今回の設問では額面総額¥100,000,000のうち¥40,000,000分(40%)を買入償還するので、減少する社債の帳簿価額は97,200,000×40%=¥38,880,000となる。

◎買入金額の計算

買い入れ金額は額面¥100につき¥98を支払っているので、総額は40,000,000×@¥98/@¥100=¥39,200,000となる。

上記のことから、買入償還時の仕訳は次の通り。

(借方)社債     38,880,000 /(貸方)当座預金 39,200,000
(借方)社債償還損   320,000

このように、買入償還の設問では償還時の社債の簿価を正しく計算できるかどうかが全てとなる。
これを難しいと感じる人もいるようだが、ゆっくり計算すればちっとも難しくないので安心して欲しい。
上記の計算手順に慣れれば誰だって簡単に答えを導けるようになる。

 

最後に

社債に関する設問は“日商簿記2級といえば社債”というくらいに頻繁に出題される項目なので、是非マスターしておいて欲しい。
特に買入償還は頻繁に出題されているため要チェックだ。