ブログで学ぶ〜日商簿記2級チャレンジ #33 電子記録債権・電子記録債務ってナニ?
平成28年度の簿記検定2級から新たに試験範囲に加わった電子記録債権・電子記録債務(通称『でんさい』)。
簿記検定をテーマにしているブログやウェブサイトで解説や仕訳例を調べている人も多いと思うが、いきなり例題や仕訳例を呈示されても「よく解かんないなぁ……?」っていうのが正直なところではないだろうか。
まずは電子記録債権・電子記録債務とは何なのか?これを知ることが「でんさい」をマスターするファースト・ステップだ。
電子記録債権・電子記録債務について調べてみよう!
電子記録債権・電子記録債務は通称『でんさい』と呼ばれており、その詳細は下記のウェブサイトで調べることができる。
◎でんさいネット https://www.densai.net/
そこで早速このサイトの「電子記録債権とは」という項目に目を通してみると、そこには『電子記録債権は、手形・指名債権(売掛債権等)の問題点を克服した新たな金銭債権です(手形・指名債権を電子化したものではありません)。』なんて記載してあって、これだけだとハテナ?って感じになるかもしれない。というか、初めての人はこうなって当たり前^^;
そこでオススメなのが同サイトの「でんさいネットの特徴」っていう項目だ。特にここに掲載されている「マンガでわかるでんさいのススメ」ってのがものすごくわかりやすい。まずは一読してみよう。
◎でんさいネットの特徴 https://www.densai.net/feature
時間がある人は同ページ内の「でんさいネット早わかり!その仕組みと実務」というビデオもオススメだ。とても解りやすく作ってある!先のマンガと併せて視聴するとより理解が深まるだろう。
さて、上記の特徴を見てもらえばわかるが、「でんさい」はかなり実務向けの内容なので、簿記検定だけでなく実務で経理や会計に携わっているビジネスパーソンにとってもかなり有益なものとなっている。「でんさい」は今後益々一般化していく取引形態なので簿記検定の試験範囲云々に関わらずビジネスの基礎知識として押さえておこう。
設問と仕訳例
「でんさい」の意味がわかったところで具体的な設問と仕訳例だ。
[設問]
(1)熊本商店は、福岡商店より商品¥100,000を掛けで仕入れ、(2)この支払いを電子債権記録機関で行うため、取引銀行を通して債務の発生記録を行なった。また、福岡商店は取引銀行よりその通知をうけた。(3)その後、支払期日が到来し、上記債務が当座預金口座から引き落とされた。
それでは、熊本商店・福岡商店それぞれの立場での仕訳を確認してみよう。
【熊本商店】
(1)商品の仕入時
(借方)仕入 100,000
(貸方)買掛金 100,000
(2)発生記録の請求時(上記の買掛金について発生記録の請求を行い、電子記録債権に係る債務¥100,000が生じた時)
(借方)買掛金 100,000
(貸方)電子記録債務 100,000
(3)決済時
(借方)電子記録債務 100,000
(貸方)当座預金 100,000
【福岡商店】
(1)商品の売上時
(借方)売掛金 100,000
(貸方)売上 100,000
(2)発生記録の請求時
(借方)電子記録債権 100,000
(貸方)売掛金 100,000
(3)決済時
(借方)当座預金 100,000
(貸方)電子記録債権 100,000
電子記録債権はここに注目!
電子記録債権の大きな特徴に「分割譲渡」がある。これは保有している電子記録債権の一部を分割して譲渡することだ。
例えば先の例題の場合だと、福岡商店が(2)の電子記録債権¥100,000のうち、¥60,000を現金¥58,000と引き換えに鹿児島商店に譲渡した……などという設問にすることもできる。この点は簿記検定では出題の可能性が高いので注意が必要だ。
ちなみにこの分割譲渡の仕訳は次のようになる。
(借方)現金 58,000
(貸方)電子記録債権 60,000
(借方)電子記録債権売却損 2,000
まとめ
電子記録債権といっても難しく考える必要はない。
先に紹介した「でんさいネットの特徴」に一通り目を通して貰えれば大まかな取引の内容は理解してもらえるだろう。
仕訳も『(支払企業)買掛金→電子記録債務→決済、(納入企業)売掛金→電子記録債権→決済または分割譲渡』という流れが意識できていればそうそう難しいものでは無いはずだ。
「でんさい」の仕組みを知らずに仕訳の字面だけ見ていたのではさっぱりだが、取引イメージがわかれば何てことはないぞ。
簿記検定でも実務でも「でんさい」の取り扱いは増える一方だ。この機会に是非マスターしておこう!