公式メルマガ10/23号・配信!
「公式メルマガ」発行しました! 今週号の内容は…
1.目指せ2級合格!簿記初学者のためのワンポイント講座
為替予約が難しい?
だったら、これだけ憶えておけばOK!今回は為替予約マスター術だ!!
2.編集後記
今週号のハイライト
為替予約とは外貨建金銭債権債務について、あらかじめ支払う為替相場を定めておく契約のことだ。
前回学習した外貨換算を思い出してみよう。例えばアメリカのA社から掛けで100ドル分の商品を仕入れた場合の仕訳は次のようになる(※取引時の為替相場は1ドル95円)。
(借方)仕 入 9,500
(貸方)買掛金 9,500
その後、決済時の為替相場が1ドル100円ならば仕訳は次のようになり、為替差損益が500円生じることになる。
(借方)買掛金 9,500
(借方)為替差損益 500
(貸方)現金預金 10,000
しかし、為替相場の変動により債権債務の受払額が変わることは取引当初からわかっていることなので、この受払額の変動リスクを回避する手段として、決済する銀行との間であらかじめ支払時の為替相場を定めておくことができる。これを為替予約という。
つまり、取引時に為替予約の先物為替相場(決済時の予約レート)を用いることで、最初から受払額の金額を固定化してしまおうというワケだ。
具体的な例で確認してみよう。
先の例題の場合、商品の仕入と同時に為替予約を行ったとすると仕訳は次のようになる。なお、取引時の為替相場は1ドル95円、先物為替相場(為替予約による決済時の為替レート)は1ドル98円。
(借方)仕 入 9,800
(貸方)買掛金 9,800
その後、決済時には契約通りの予約レートで代金を支払う。
(借方)買掛金 9,800
(貸方)現金預金 9,800
このように、為替予約を行うことで取引発生の時点で買掛金の支払額を先物為替相場による9,800円に固定してしまうのである。
為替予約の取引別基本仕訳パターン
それでは為替予約を行った場合の仕訳パターンを【1】取引発生時,【2】決算時,【3】決済時の各ケースで確認してみよう。
なお、取引の発生時に為替予約を行った場合は、取引時の先物為替相場(予約レート)で換算する点に注目しておいて欲しい。
【1】取引発生時の仕訳パターン
[例題]アメリカの得意先B社に対して商品100ドルを掛けで販売し、取引と同時に為替予約を行った。取引時の為替相場は1ドル105円、先物為替相場は1ドル100円であった。
(借方)売掛金 10,000
(貸方)売 上 10,000
(解説)取引時の為替相場が1ドル105円だったとしても、為替予約により決済額が1ドル100円で固定化されるため換算額は100ドル×100円=10,000円として換算する。
【2】決算時の仕訳パターン
[例題]決算を迎えた。決算日の為替相場は1ドル102円である。
仕訳不要
(解説)為替予約を行ったことで既に決済金額が確定してしまっているため、決算時の為替変動による受払金額の変動を認識する必要はない。したがって仕訳は不要。
【3】決済時の仕訳パターン
[例題]B社から代金100ドルを受け取った。決済時の為替相場は1ドル98円である。
(借方)現金預金 10,000
(貸方)売掛金 10,000
(解説)決済時の為替相場が1ドル98円であっても、決済額は契約通り予約レートの1ドル100円で決済される。
為替予約を行わなかった時の仕訳パターン
上記の例題で為替予約を行わなかった場合、各取引時の仕訳は次のようになる。為替予約を行った場合と比較して、その処理の違いを確認しておこう。
【1】取引時
(借方)売掛金 10,500
(貸方)売 上 10,500
【2】決算時
(借方)為替差損益 300
(貸方)売掛金 300
(解説)売掛金の簿価が100ドル×105円=10,500円から100ドル×102円=10,200円に減ってしまうため、簿価を切り下げるとともに差額を為替差損益として計上する。
【3】決済時
(借方)現金預金 9,800
(借方)為替差損益 400
(貸方)売掛金 10,200
(解説)売掛金の簿価10,200円と回収額9,800円の換算差額を為替差損益として計上する。
為替予約を行わなかった場合、このように10,500円の売掛金を9,800円でしか回収できなかったため、為替変動による差損益が700円生じてしまったことになる。
このような為替変動によるリスクを回避(ヘッジという)するために用いる手段が為替予約であり、リスクヘッジのための会計処理のことをヘッジ会計という(※ヘッジ会計の詳細は1級で学習)……続きはメルマガで
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