簿記学習に必要なのは計算力?暗記力?それとも……

試験問題を解く際に「問題文が何を言っているのかよくわからない」という相談を受けることがあります。
ぶっちゃけ「問題馴れするしかない」といえばそうなのですが、それではあまりに素っ気なさすぎるかなと。そこで今回は問題文を読む際に気を付けるポイントについて少しだけお話ししてみましょう。

問題文を読む際には注意すべきいくつかのポイントがありますが、最も大切なことは「この問題を作成した人が、受験生に何をさせたいのか」を読み取ることです。
どのような問題であっても、必ず解答を導き出すための資料が与えられます。したがって「自分が何をしなければならないのか」さえ理解できれば、後は解答に必要な各種データを与えられた資料からピックアップするだけで良いのです。

もちろん、出題者もあの手この手の様々な表現で資料を与えてきます。
しかし、どんなに見せ方や切り口を変えたところで、解答を導くために必要な数字や計算手順は何ら変わりません。
つまり、一見すると今までに解いたことがない問題のように見えても、実はその中身は過去に幾度となく繰り返し解き直した問題と同じなのです。

マンガ風に例えるなら、都会に出ていった従兄のお兄さんが久しぶりに故郷に帰ってくると、見た目も垢ぬけ、標準語で話したりして全くの別人のように見えるのでビックリするのですが、しばらく喋っていると方言丸出しの昔のままの気のいいお兄さんだったりするのと同じです。

何が言いたいのかというと、要は「見慣れない表現や資料の与えられ方にビビって舞い上がることなく、その問題が何をさせようとしているのかという本質を見極めようぜ」ということです。

これが簿記の試験が「国語の問題みたい」と言われる所以でもあります。
簿記学習で本当に必要なのは小手先の計算テクニックや暗記力ではなく、読解力なのですよ。

では、どのうようにして読解力を身に着ければ良いのでしょう。
難しく考える必要はないのですが、こればかりは一朝一夕で身に付くようなものでもありませんし……はてさて、どうしたものでしょうか。

そこで耳よりな情報を一つ。

実は日商簿記検定のウェブサイトに「出題の意図・講評」というページがあるのですが、ご存知でしょうか。
そこには過去に出題された問題について、その出題のねらいや解法のポイントが「出題の意図」として公表されています。また、試験結果をふまえてどのような点に注意して学習すべきかも「講評」として公表されているのです。
もちろん、どの回の問題なのについてはすべて記載してありますので、過去問題集をお持ちの方は是非、該当回の出題の意図と合わせて各問題をチェックされてみてください。
「あぁ、あれはこういう意味だったのか!」「あの資料はこんなふうに使うのか!」と、きっと目から鱗状態になることでしょう。
これをチェックするだけでも、問題文の読みかたのコツのヒントが掴めるかもしれません。

実際、問題文の読みかたには一種のコツのようなものがあります。
ただ、そのコツを掴むには、やはり問題を数多く解いて慣れていくしかないのです。
しかし、何もわからずに漫然と問題を解くのと、上記のような出題の意図や講評を参考にしながら解くのとでは、学習効果に雲泥の差がでることは明らかでしょう。

問題文の意味がわからない、どこから手を付けて良いのかがわからないという人は、まずは過去問題と出題の意図・講評をつかって「問題文の読み方」を練習することをお勧めします。

ネットであれこれ調べたりyoutubeで動画を漁る前に、まずは公式ウェブサイトの情報にしっかり目を通してみましょう。
公式サイトには学習のヒントが満載です。これから簿記検定を受験しようという人が、公式サイトをチェックしていないなんてこと……ありませんよね?

※商工会議所の簿記検定公式ウェブサイトは下記リンク先からジャンプできます。
商工会議所の検定試験 簿記 https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping