3分でわかる!先日付小切手

 

最近、このブログの検索ワードで多いのが「銀行勘定調整表」の作り方。

銀行勘定調整表そのものの作り方は「簿記・虎の穴 #15 もう迷わない!銀行勘定調整表の(超)簡単作成法」で図解で解説しているので、そちらを参考にして欲しい。

さて、銀行勘定調整表の話しをすると、未取付小切手や未渡小切手なんていうものがでてくるのだが、折角なのでついでに「先日付小切手」の話しをしておこう。

先日付小切手というのは、名前の通り小切手の日付が数週間や数ヶ月先の日付で振り出す小切手のことである。

例えば本日(6/28)、A商店より商品¥500,000を仕入れ、代金を小切手で支払うとする。
ところが、当座預金残高が¥300,000しかない。
ただし、1か月後の7月末には別の取引代金として当座預金口座に¥1,000,000の入金が確実に予定されている……としよう。

このような場合はA商店と話し合い、小切手の振出日を8月1日などの将来の日付で振り出し、その日付まで取り立てを待ってもらう……といったこともできるのである。

このような「将来の日付」を振出日に指定して振り出す小切手のことを「先日付小切手」と呼ぶのである。

この場合、小切手を受け取ったA商店側は会計処理に気をつけなければならない。
モノは小切手なのだが、「将来の一定の日付にならないと現金化できない」という理由から、会計処理は次の仕訳のように現金勘定ではなく受取手形勘定で処理することになっているのだ。

(借方)受取手形 500,000 /(貸方)売 上 500,000

ここまでは「あぁ、知ってるよ!」って人も多いことだろう。

では、一方の振り出した側の会計処理はどうだろう?
この問いに関しては、不思議なことに、どのテキストにも解説が載っていないので知らない人も多いのだ。

単純に考えると、受取側が受取手形勘定で処理するので、振り出し側は支払手形勘定で処理をするのでは?……と考える人も多いのではないだろうか。

ところが、先日付小切手も普通の小切手と同様に、法律上は期日前であっても銀行に持ち込めば換金できることになっているのである!

もちろん、銀行はそんな小切手の取立ては嫌がるだろうし、そもそも、期日にならないと換金しないという約束になっているのだから、実際には期日前に銀行に持ち込んだりはしない。
ただ、法律的には可能なのである。

ということは、振り出した側からみれば、受取人が約束の期日まで換金しないというだけで、普通に小切手を振り出したのと同じと考えられるのだ。

したがって、振り出し側の会計処理は次の仕訳のように、通常の小切手の振り出しと同じく当座預金勘定の減少として処理することになる。

(借方)仕 入 500,000 /(貸方)当座預金 500,000

当然、実際に振り出した日と小切手に記載した振出日との間に決算を挟むと、当店の当座預金残高と銀行残高に食い違いが生じることになるが、銀行勘定調整表で調整するので問題は無い。
もちろん、修正仕訳も一切不要だ。

先日付小切手は日商簿記検定試験よりも、どちらかというと実務で出てくることが多い項目なのだが、ネットで調べると結構質問が多いようなので、憶えておいて損はないと思うよ。

 

※この記事は簿記塾オッジの公式メルマガ「オッジ通信2013年6月28日号」に掲載された記事を加筆・修正したものです。

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