ブログで学ぶ〜日商簿記2級チャレンジ #26 製造間接費の計算(実際配賦)
製造間接費の学習ポイントはズバリ、配賦率の算定だ。
配賦率とは「製造間接費を一定の配賦基準によって各製品に配賦する際に用いる率」のことである。
製造間接費の算定は、こいつが計算できなければ何も始まらないからね!
製造間接費の配賦(実際配賦)
実際配賦率の計算
製造間接費の実際発生額を元に算定する配賦率(実際配賦)は次の計算式で求めることができる。
配賦率=(原価計算期間における)製造間接費総額÷(原価計算期間における)配賦基準数値
計算式だけではピンとこないだろうかた、次の資料を使って具体的に計算してみよう。
[資料]
・今月の製造間接費の実際発生額:¥600,000
・製造間接費の配賦基準:直接材料費法
・各製造指図書の直接材料費は次の通り。
製造指図書 #1:¥70,000
製造指図書 #2:¥30,000
製造指図書 #3:¥50,000
この場合、配賦率は次のように求める。
配賦率=600,000÷(70,000+30,000+50,000)=¥4
要は直接材料費¥1あたりの製造間接費が¥4ということだ。
したがって各製造指図書への製造間接費の配賦額は次のように計算すればよい。
・製造指図書 #1=4×70,000=¥280,000
・製造指図書 #2=4×30,000=¥120,000
・製造指図書 #3=4×50,000=¥200,000
さまざまな配賦基準
配賦率の計算に使う配賦基準数値には材料費の他にも、直接労務費や直接作業時間、機械の運転時間を用いるケースもある。どの配賦基準数値を用いるかは設問の指示に従うこと!
また、製造間接費の配賦額を“より正確に”計算する方法もある。
具体的には製造間接費を工場の各機械群(A機械群・B機械群など)ごとに分解し、各機械群ごとの1時間あたりの配賦率を求めて細かく計算する方法だ。
これを「生産中心点別機械運転時間法」といい、この時の各機械群ごとの配賦率のことを特別に「機械率」と呼んでいる。
日商簿記検定のテキストでは機械率を機械費計算月報という集計表で計算しているはずだ。手元にお持ちのテキストまたは問題集で確認してほしい。
では、これも次の資料を使って、その計算過程を確認してみることにしよう。
[資料]
・今月の製造間接費の実際発生額:¥1,000,000
・当工場ではA機械とB機械という二種類の機械を使って製品を製造しており、上記の製造間接費を各機械ごとに集計し直したところ、次のようになった。
生産中心点別機械運転時間法により、製造間接費を各製造指図書へ配賦しなさい。
・製造間接費¥1,000,000(内訳:A機械の製造間接費¥600,000 B機械の製造間接費¥400,000)
・各製造間接費の機械運転時間は次の通り。
製造指図書 #10:A機械 30時間 B機械 15時間
製造指図書 #11:A機械 20時間 B機械 5時間
(1)まず、各機械ごとの機械率(配賦率)を算定する。
◎A機械の機械率=600,000÷(30時間+20時間)=¥12,000
◎B機械の機械率=400,000÷(15時間+5時間)=¥20,000
(2)A機械・B機械の機械率が計算できたところで、続けて各製造指図書への配賦額を次のように算定する。
◎製造指図書 #10=(12,000×30時間)+(20,000×15時間)=¥660,000
◎製造指図書 #11=(12,000×20時間)+(20,000×5時間)=¥340,000
機械費計算月報の作成問題は、下記の日商簿記2級ワークブック商業簿記に掲載されている程度の設問が解ければ十分だろう。
まとめ
計算そのものは配賦率の意味が理解できていれば、公式を暗記するような内容ではない。
ポイントは与えられた資料から必要な数字を正しくピックアップできるかどうかという点のみである。
当然のことだが、資料を正しく読み取れなくては全ての計算が全て狂ってしまう。
原価計算の場合、計算ミスは大きな失点に繋がるため十分に時間を割いて練習しておく必要があるだろう。
ところで工業簿記といえば予定配賦だ。
もちろん、製造間接費の計算についても今回の実際配賦の他に予定配賦が存在する。そして、これまた当然のように製造間接費の計算は予定配賦がメインなのだ!
製造間接費の計算(予定配賦)の学習ポイントについては、改めて次回解説することにしよう。
お楽しみに!
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