簿記がわからないという悩みを解決するたった3つの方法
簿記がまったくわからない……。
このような悩みを持つ人は多いようで、特に商業高校や大学に入学して初めて簿記を学ぶ人にこの傾向が強い。
そりゃそうだろう。
社会人ならいざしらず、ついこの間まで中学生や高校生だった子たちに資本金だなんだと言ってもピンとくるはずがない。
第一まだ働いたことがない(アルバイトレベルも含む)のに、取引の流れや減価償却なんつっても想像すらつかないのが当たり前なのだ。
興味が持てないから勉強する気になれない。
そもそも、“わからないところ”がわからないので、質問しようにも何と言って質問すれば良いのかわからないし、かといって授業を聞いてもチンプンカンプン。
これじゃ、簿記がイヤになるのは当たり前なのだ。
でも、学校の授業だから単位もとらなきゃならないし、成績表にも影響しちゃう。
だからどうにかして簿記3級や2級の検定資格をとれるくらいにマスターしなきゃならないってのが現実だ。
さて、この状況を打破するにはどうすれば良いのだろう?
そんな悩みをお持ちのあなたに、今回はShinちゃん先生が少しだけアドバイスしちゃおう!
なぜ、簿記がわからなくなるんだろう
原因ははっきりしている。それは簿記に興味がないからだ。
なぜ、興味を持てないのか?その理由は何と言ってもその難解な簿記(会計)の用語ではないだろうか。
借方、貸方、仕訳、貸借対照表に損益計算書などなど……簿記初心者用の入門テキストを開いたのっけから、これらの意味不明な用語が当たり前のようにあるのだから、そりゃぁ、たまったものではない。
ためしに手元の入門テキストにある貸借対照表の説明を読んでみると「企業の一定時点における資産・負債・純資産(資本)の内容とその有高、すなわち財政状態を明らかにする表」と書いてある。なんのこっちゃ!
大人だってナンノコッチャ!となるひとはゴマンといるだろう。
でも、例えばこれを次のように言い換えたらどうだろう。
『貸借対照表とは、どれだけのお金やモノ(資産)を持っていて、どのくらいの借金(負債)があるのかといった会社の財産の状態を表している“財産目録”みたいなものである。』
どうだろう、いきなり資産・負債・純資産だ財政状態だと言われるより、よほど想像しやすいのではないだろうか。
同様に損益計算書も『どのようにして儲けが発生したのか?その原因を表している表』と言った方が経営成績云々というよりもわかりやすいのではないか。
まぁ、テキストだから専門用語を使うのは仕方がないことだが、そこに書いてあることを自分が理解できる(分り易い)言い回しに置き換えることができれば、少なくともチンプンカンプンになることはないだろう。
そう、興味を持てないのはテキストに書いてある言葉や説明の意味が難しいことが原因なのだから、こいつをクリアできれば「簿記がわからない」という悩みを解決する糸口になるのではないだろうか。
簿記がわからないという悩みを解決するたった3つの方法とは?
まず最初に言っておくが、興味があれば放っておいても勉強するようになる。これホント。
興味があれば自分で調べてみようという気持ちが芽生えるし、また、そういう気持ちになるだけでも漠然とした簿記に対する拒絶感が徐々に薄まり、友達や学校の先生に積極的に質問できるようになる。
よく「何を質問していいかわからないので質問できない」という人がいるが、そんなこと気にする必要はない。先生にその言葉をそのまま投げかければいいのだ。
相手はプロだ。わからないと言われれば、どこで“引っかかっているのか”を探りながら真摯に話しを聞いてくれるはずだ。
わかってくれば問題も解けるようになるし、問題が解ければ面白くなるので勉強も進む。このようなイイ感じのスパイラルに入り込むとメキメキと実力がついて簿記検定2級なんてあっという間に合格してしまうだろう。
それでは「わからない」を解決するための秘訣をアドバイスだ!
◎秘訣その1:わからないからと遠慮せずに、とにかく訊きまくれ!
簿記(会計)の用語っていうのは慣れていないと意味がわからない(よくよく漢字の意味を考えるとナルホド!と思えるようになるんだけどね)。
そんな時は自分がわかりやすい言葉や言い回しに置き換えてみよう。例えば売掛金は「商品をツケ(代金後払い)で販売した際の代金を後日受け取る権利」なんていうのはどうだろう。また、買掛金はその逆で「商品をツケで仕入れた際の代金を後日支払わなければならない義務」ってな感じだ。
その他にも「資産=お金やモノ、債権(後でお金やサービスを受けることができる権利)など、会社にとってプラスの財産のこと」、「負債=後でお金を支払ったりサービスを提供しなければならない義務など、会社にとってマイナスの財産のこと」、「純資産=プラスの財産とマイナスの財産を差し引いた純粋な自分の持分のこと」といった具合だ。
ここで「Shinちゃん先生は簡単にいうけど、そういうのが難しいんだよぉ!!」という声が聞こえてきそうだね。
そうだね、初めて目にする言葉や概念だから、いきなり「わかりやすい例えに置き換えろ」なんていわれても難しいかもしれないね。
でも安心してほしい。
そのために学校には先生がいるのだから、先生に「この意味を私達でも(たとえば高校生でも)分かるような例えで説明してもらえませんか?」と質問すればいい。
このとき“私達でもわかるような例え”って言うのがポイントだよ。
頑固で偏屈な先生でもない限り、大抵の先生は頭を捻ってくれると思うんだ。そうでなければクラスで簿記の成績の良い友達に同じように質問してみるのもいいだろう。
同年代の者同士、同じ目線で一所懸命質問に答えてくれると思うよ。この時、「これはこういうもんだって憶えちゃうのが早いよ!」って言われたら、その時はその言葉通りにすれば良い。あと、お礼も忘れずにね!
今はわからなくても、必ず後で「あぁ、あれはこういう意味だったのか!!」となる時が必ず来る。
とにかく訊いて訊いて訊きまくる!最初は何を質問すれば良いのかがわからなくても構わない、とにかく訊きまくる。
恥ずかしがることなんてないぞ。わからないから質問するのは当たり前のことなのだ!聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥っていうくらいだから遠慮する必要はない。
担当の先生だって、そのために存在するんだからね。
大切なのは実際に質問をすることで自分自身の中の「簿記に対する興味」を育てることだ。
これはどういう意味かなぁ?こういった意味かしら……と疑問を持つことが簿記に興味をもつための第一歩なのだから。
◎秘訣その2:図を描いて考える
簿記を勉強する際に大切なことは『図』を描きながら数字の流れをイメージすることが大切だ。
図を描くとビジュアルとして脳に記憶されるため、公式を丸暗記するのとは異なり、後々いろいろな局面で役立つこと請け合いだ。
具体的に現金の増減を例にとって説明してみよう。
商品を売上げ、代金100,000円を現金で受け取ったという場合の仕訳は次のようになるよね。
(借方)現金 100,000 /(貸方)売上 100,000
この時、「現金は増えたら借方、減ったら貸方」といったふうに仕訳を単純に丸暗記していたのでは勉強している意味がない。
仕訳は暗記ではなく“理屈”なのだ。
先の取引の場合、出てくるのは現金と売上という二つの勘定である。そこで下のような図を描いて現金の増加と売上の発生を図でイメージするのである(このような勘定の図のことをテキストや参考書ではT(ティー)勘定やボックス図と表現している)。
この図に、現金は資産なので借方側がプラス(増加)で貸方側がマイナス(減少)、売上は収益なので貸方側がプラス(発生)で借方側がマイナス(取り消し)と書き込んだら、今回の取引による現金・売上の増減(発生・取り消し)を図に記入してみる。
この図をじぃーっと見つめて欲しい。
すると、仕訳というのは『どの勘定の借方にいくらの金額を記入し、どの勘定の貸方にいくらの金額を記入するのかを指示する命令書のようなもの』なので、描いた図を見ながら「現金勘定の借方に100,000円と記入したいので、借方側に“現金”。続けて、売上勘定の貸方側に100,000円と記入したいので、貸方側に“売上”という仕訳にすればいいんだ!」ということがビジュアルで確認できるというわけだ(ちなみに借方・貸方のプラス・マイナスは各勘定ごとにルールがあるのだが、その話しはまた別の機会に……)。
このように取引を図でイメージできるようになれば、仕訳を暗記するなんて行為がいかにムダなことなのかということに気付くだろう。
これを単純に「現金は増えたら借方、減ったら貸方」なんていうふうに意味も考えずに丸暗記しているようでは、このような“気付き”を得ることは永遠にできないだろう。
また、図を描くことで解説を読むだけではわからなかったことも、パズルのピースのようにひとつずつ解けていくことも多々あるのである。
とはいうものの、まぁ当然のことだけど簿記の初学者がこのような図をスラスラ描けるとは僕も思っていない。
そこで、まずは先生が黒板に描く図の書き方をしっかりと真似するところから始めてみて欲しい。先生が黒板に描く図は解説と同時に解法手順でもある。簿記の勉強では、先生が黒板に描く図を自分自身でも描いてみることが大切なのだ。
これが「わからない」を解決する2つ目の秘訣だ。
◎秘訣その3:人に教えてみる
問題が解けるようになったら積極的に人に教えてみよう。どんな勉強もそうなのだが、理解を深める一番の方法は「人に教える」ことなのだ。
もちろん人に教えるには、ある程度の内容をきちんと理解できていないと説明することはできない。また、自分ではこうだと思っていても、いざ人に説明しようとすると「あれ、自分の言っていることが何だかおかしい(矛盾している)ぞ??」ってなることがある。
実はこれが大切なんだ。恥ずかしいなんて思っちゃいけない。これは理解を深めるためにとても意味のあることなのだから。
ここで僕の話しを少しだけしておこう。
僕が簿記の先生になったばかりの頃のことだ。当時の僕は「検定試験に合格した=簿記のことがわかっている」つもりだった。
だから、あまり深く考えずに「コレハ、コウイウモノナノダ」と何の疑問も持たずに講義をしていた。
ところが、ある日の講義中にふと“なぜ、そう考えるんだろう?”という疑問が生じたのである。もちろん、内容的には些細なことなので授業に影響はなかったのだが、その疑問がずっと心に残っていた。
そこで帰宅後にじっくりと考えてみた。ところがその理由がわからないのだ!
それからというもの、専門書を片っ端から読み漁り、当時の師匠にもあれこれ質問してようやく納得できる答えに辿り着くことができた。おかげで理解も今まで以上に深まり、以降は自信を持って講義することができるようになったのである。
『自信』
これ以上頼もしいものはない。
人に教えることで自信は育つ。自信があればどんな設問であろうが、チャレンジしてやろう!という気概が生まれる。
そうなってくると設問を解いていても「ふぅーん、この出題者はこうさせたいんだな。あっ、やっぱりここで引っ掛けてきたな、騙されないぞ!」ってなる。
そう、問題を解くのが出題者との知恵比べみたいに思えて楽しくなるのだ。
もちろん、すんなり解けなかった時も「あぁ、なるほど、こんなやり方(考え方)もあるのか!」と今まで以上に理解と応用力を深めることがことができる。いわゆる“引出し”が増えるワケだ。
こうなるともう、「わからない」とは考えさえしなくなるのである。
だから僕は生徒さん達によく質問を投げかける。「なぜ、そうなるの?この方法じゃダメかな?」と。
ただ、人に教える機会ってそんなに度々あるわけじゃない。
学校の勉強っていうのはどうしても受け身になっちゃうので、人に教えるっていっても学校ではせいぜいクラスメイト同士であーだ・こーだと喋るくらいかもしれないね。
それでも「自分はこう思うよ」って言えるだけでも凄いことなのだ。
機会があれば積極的に人に教えてみよう!これができればもう何も心配しなくていい。
まとめ
簿記がわからない……というのは言い換えれば簿記の勉強そのものに興味がないということだ。
だったら、興味を持てるようにすればいいだけの話し。
そのためには、なぜ興味を持てないのかを考えて障害をひとつひとつ丁寧に取り除けば良いだけだ。
もちろん、興味を持てない原因が簿記そのもにないこともあるだろう。
担当の先生が好きになれないだとか、そもそも興味がないなど簿記とは全く違うところに原因があることもある。
そういった場合はなかなか大変かもしれないが諦めちゃいけない。人の興味なんてちょっとしたキッカケでガラリと変わっちゃうものだからね。
そして最後にもうひとつだけ。
わからないからもういいや……なんて放り出さないこと!
友人や親、だれでもいいので「簿記がわかんなくて困ってるんだよね」って相談しよう。知り合いに相談するのが恥ずかしいのなら僕に相談してもらってもいい。
まずは話しを聞いてもらうことから始めよう。何かしらのアクションを起こさないと事態は解決しないのだ!
興味さえでてくれば、あとは心配しなくても大丈夫。
今回伝授した3つの秘訣「わからないとことは遠慮せずに人に訊く・図を描く・人に教えてみる」を実践すれば、必ず簿記をマスターすることができるだろう。もちろん、簿記検定の合格といった目標もクリアすることができる。
簿記を好きになる必要はない。興味さえ持てればそれで良いのだ。
あなたの簿記ライフが意義あるものになりますように!!
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