『2級は2週間、3級なら1週間で合格できる！』

インターネットで簿記検定のことを調べているとこのような目を引くタイトルの記事が目に飛び込んでくるが、果たしてそれは本当なのだろうか。

大学の授業で会計学をかじったことがあるとか、本格的に学習したことはないが仕事で会計データに触れる機会があるというのであれば、上記のような短期間での合格というのもあり得ない話ではない。

だが、あなたが予備知識ゼロの状態から検定合格を目指すのであれば、上記の記事内容を鵜呑みにしてのんびりと構えていると、恐らく合格よりも不合格の可能性の方が数倍も高くなることだろう。

年々と高くなっている難易度

一昔前は“簿記は暗記”とばかりに、パターン暗記を中心とした学習が簿記学習の標準的な学習方法であった。
それこそ3級・2級ともに1冊の総合問題集を繰り返し解き直すことで、ほぼ全ての出題パターンを網羅することができ、試験にも余裕で合格することができたことも事実である。

もちろん、これは検定試験向けに特化した方法なので、学習した知識が実務で役立つかどうかは不明である。
とにかく検定試験合格のためだけの学習方法なのだ。

ところが、ここ数年は出題傾向が大きく変わってきており、基礎的な知識や考え方を正しく理解しているかどうかを試す応用問題の出題が増えてきているのである。
要は従来の単純な丸暗記やパターン暗記による受験生を排除する方向に試験の傾向が変化してきているのである。

もちろん、実際の設問を見ると基本的な考え方が解っていれば何ということないものばかりなのだが、過去問題の出題パターンとその解き方を憶えることに時間を費やした受験生にとっては、あたかも意表を突く設問のように目に映るのかもしれない。

とはいうものの、基本をしっかりとマスターするというのは、言葉で言うほど簡単なものではない。
基本を理解するには、テキストに書いてあることを丸暗記するのではなく、『なぜ、そう考えるのか？』を自分自身が納得できるまであれこれじっくりと思考することが不可欠なのだ。
解説を読んで解ったつもりになっているくらいでは昨今の応用問題を解くことなどできないだろう。

余裕をもった学習計画が不可欠

ネット上の記事を信じるなら、3級を1週間、2級を2週間で合格できた人が実在する以上、それが全く不可能なことではないことは事実である。
しかしそれは、その人の予備知識の有無や学習環境、さらには自頭の良さといった個人的な要素に大きく左右される。
もちろん、私も含めて平均的な平凡な人間がそれを真似したところで、同じような結果が得られる保証は無い。

特殊な能力に恵まれていないとなれば、必要なのは、そう、地道な努力なのである。

先にも述べたように、大切なのは基本をしっかりとマスターすることであり、時間をたっぷりと掛けて学習を段階的に進める必要がある。
そのためにも、まず最初にやらなければならないのが余裕を持った学習計画を立てることなのだ。

あなたが社会人なら、平日はそうそう学習に時間を割くことは難しいだろう。
あなたが時間に余裕が持てる学生ならば、1日の学習時間を多めに確保することもできるだろう。

その上で、自分の生活スタイルに合った学習期間を算定し、検定試験の施行日から逆算して学習のスタート時期を決めることが第一歩となる。

ネットの記事を鵜呑みにしない！

ネットの情報は玉石混淆である。
簿記会計に関しては他のジャンルと比べるとまだまだマシな方なのだが、学習方法に関しては一昔前の古い情報や眉唾的なものが当たり前のようにでてくる。
また、前回の試験にはアレが出題されたので次回はもう出題されないとか、次回はコレが出題されるかも…といったような情報も多く目にすることだろう。

もちろん、参考にする分にはよいのだが、その情報をそのまま鵜呑みにしないよう気を付けておきたい。

基本的に『どのような問題が出題されても大丈夫！！』と言えるくらいに勉強しておかなければ合格は難しい。
山を張るようでは、まだまだ受験するレベルに達していないと肝に銘じておこう。

まとめ

◎1週間や2週間という短期間で合格できるというのは、その人の学習環境や個人的な能力に大きく左右されるため、不可能ではないが一般的な学習方法とは言い難い。

◎丸暗記やパターン学習を中心とした一昔前の学習方法では、新傾向の設問に対応することが難しい。

◎近年の簿記検定で試されるのは『基本の理解と、その応用力』である。

◎基本の理解とその応用力を身に着けるには、時間をじっくりとかけて学習することが肝心。

◎自分自身の学習環境を客観的に把握して、余裕を持った学習計画を立てることが重要。

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