ブログで学ぶ〜日商簿記2級チャレンジ #37 圧縮記帳を3分でマスター!

圧縮記帳には直接控除方式と積立金方式という二通りの会計処理方法があるが、出題区分表によると2級で出題される圧縮記帳は「国庫補助金・工事負担金を直接控除方式により記帳する場合に限る」となっている。
今回は直接控除方式による圧縮記帳の会計処理について確認してみよう。

圧縮記帳とは?

圧縮記帳とは教科書的な言い方をすれば「国からの補助金などにより取得した有形固定資産について、取得原価を減額(圧縮)する会計処理」ということになるが、ここだけ読んでも正直ハテナ?という人も多いだろう。
そこで、もう少し解りすくするために具体的な例で説明してみよう。

あなたは、とある固定資産を国からの補助金を利用して購入しようとしているとしよう。
この時、受け入れた補助金は国庫補助金収入という収益勘定で処理することになる。そして当然だが、その金額の分だけ利益も増加することになる。

そしてここが最初のポイントなのだが、利益が増えるということは、その分だけ法人税も増えるということを意味する。
つまり、これでは固定資産を購入するために補助金を受けとったにも関わらず、その補助金が税金として再び国に戻ってしまうことになってしまうのだ。

補助金をもらって、もらった補助金で税金を払う……こんなバカげたことをしていたのでは補助金の意味がないだろう。
そこで国庫補助金収入として計上した収益の分を今回学習する圧縮記帳という手段を使って減額してしまうのである。
こうすることで補助金収入による収益を帳簿上プラスマイナス・ゼロにして、受け入れた補助金に税金が課せられることを回避するのだ。
これで補助金の全額を本来の目的に活用することができるというわけだ。

圧縮記帳とは要は「補助金収入に対する課税を回避し、補助金本来の目的を達成させるための会計処理」なのである。

圧縮記帳の対象と圧縮できる限度額は?

圧縮記帳の対象は以下の資金で取得した有形固定資産で、圧縮できる限度額はそれぞれ次の通りである。

国庫補助金:圧縮できる限度額は補助金相当額
工事負担金:圧縮できる限度額は工事負担金相当額
保険金:圧縮できる限度額は保険差益相当額

※国庫補助金:政策に基づき国や地方自治体から交付される補助金
※工事負担金:電気・ガス・通信などの公共事業を営む企業が受け取る設備の建設資金

直接控除方式(直接減額方式)による会計処理の流れ

出題区分表には直接控除方式と記述してあるが、直接減額方式とも言う。
処理の流れは以下の通り。

(1)国庫補助金などを受け取った時
→ 受け取った金額を国庫補助金収入や工事負担金収入という収益勘定で処理する。

(2)補助金を使って固定資産を取得した時
→ 収益の増加(税金の増加)を回避するため、補助金相当額を固定資産圧縮損として費用処理すると同時に、取得した固定資産の簿価を減少させる。

(3)決算時の処理(減価償却費の計算)
→ 圧縮後の帳簿価額を取得原価とみなして減価償却費を計算する。

以上が圧縮記帳の処理の流れである。
それでは具体例で仕訳を確認してみよう。

(1)国庫補助金100,000円を現金で受け入れた。

(借方)現 金     100,000
(貸方)国庫補助金収入 100,000

(2)上記の補助金と自己資金30,000円とを合せて機械装置130,000円を購入し、現金で支払った。あわせて補助金相当額の圧縮記帳を行う。

(借方)機械装置 130,000
(貸方)現 金  130,000
(借方)固定資産圧縮損 100,000
(貸方)機械装置    100,000

★仕訳ポイント1
固定資産圧縮損(費用)を計上することで(1)で計上した国庫補助金収入(収益)を相殺する。

★仕訳ポイント2
固定資産圧縮損の分だけ機械装置の帳簿価額を減少させる。固定資産の簿価を直接減額することから直接減額方式(直接控除方式)という。

(3)決算をむかえ、固定資産の減価償却を行う(定額法、耐用年数3年、残存価額はゼロ、1年決算、取得時から決算まで事業の用に供した期間は6ヶ月)。

(借方)減価償却費   5,000
(貸方)減価償却累計額 5,000

★減価償却費の計算ポイント
圧縮記帳後の取得原価:130,000円-100,000円=30,000円
30,000÷3年×6ヶ月/12か月=5,000円

▼貸借対照表の表示

貸借対照表での表示方法には次の二種類がある。
検定試験の際には十分に注意して欲しいポイントだ。

◎間接控除方式:取得原価から補助金相当額を控除する方法。

機械装置     130,000
機械圧縮損   △100,000
減価償却累計額  △5,000 25,000
□□□□□□□□□□□□□□□□────

◎直接控除注記方式:取得原価から補助金相当額を控除した残額のみを記載し、補助金等の院額を注記する方法。

機械装置     30,000※
減価償却累計額 △5,000 25,000
□□□□□□□□□□□□□□────

(注記)※機械圧縮損が100,000円控除されている。

圧縮記帳は税金の免除ではない点に注意!!

圧縮記帳の目的は補助金収入分の収益を圧縮記帳を行うことで減額し、補助金収入へ課せられる税金を回避することである。
しかし、だからといってその分の税金が免除になったのかというと、そうではないので注意が必要だ。

上記例の場合、もしも圧縮記帳を行わなければ機械装置の取得原価は130,000円となり、減価償却費の金額は130,000円÷3年×6ヶ月/12か月=21,667(小数点以下四捨五入)となる。圧縮記帳を行った場合と比べて減価償却費が16,667円も多くなる。
逆の言い方をすれば、圧縮記帳を行った場合は“圧縮記帳を行わなかった時”と比べて減価償却費が16,667円も少ないことになるのだ。

これが何を意味するのかというと、「費用が少ない→当期純利益がその分だけ多めに計算される→その分だけ税金が多くなる」ということを意味しているのである。

たしかに圧縮記帳を行ったことで補助金収入に課せられる税金は回避することができたが、その代わりに減価償却費が少なくなることで毎期の利益がその分多めに計上され、結果として税金がその分だけ毎年多めに課されることになるのである。

つまり圧縮記帳とは税金の免除ではなく、税金の繰延処置だったのである。要は補助金収入に対する税金を分割払いにしているようなものなのである。流石というか何というか、国のやることに抜け目はないのだ。

まとめ

◎圧縮記帳は補助金に対する課税の一時的な繰延処理である。

◎補助金の受取時は国庫補助金収入や工事負担金収入という収益勘定で処理する

◎固定資産の購入時は補助金相当額を圧縮記帳することで固定資産の取得価額を減額する(直接減額方式)。

◎減価償却費の計算は圧縮記帳の取得原価を元に算定する。