ブログで学ぶ〜日商簿記2級チャレンジ #27 製造間接費の計算(予定配賦)

製造間接費の予定配賦に関する学習ポイントは2つ。
ひとつは「予定配賦率」の計算、そしてもうひとつは「製造間接費配賦差異の原因分析」である。

 

予定配賦率とは?

予定配賦率の計算そのものは前回学習した実際配賦率の求めかたと同じなのだが、実際配賦率の時と異なるのは「製造間接費の予算額」を「予定配賦の基準数値」で割るという点だ。
下記のように実際配賦率と予定配賦率の算式を並べて比較すると違いが解りやすい。

◎実際配賦率=製造間接費総額÷配賦基準数値

◎予定配賦率=製造間接費予算額÷予定配賦基準数値

要は実際配賦率が「実際発生額」を元に算出した配賦率なのに対し、予定配賦率は「予算(予定金額)」を元に算出する点が異なるのだ。
例題を使って実際に計算してみよう。

[例題]次の資料から、製造間接費の実際配賦率と予定配賦率を計算しなさい。

ABC工場の年間の予定機械稼働時間は30,000時間であり、年間の製造間接費予算は¥30,000,000である。
また、当月の実際製造間接費合計は¥2,800,000で、実際機械稼働時間は2,700時間であった。計算上、1円未満の端数は切り捨てる。

◎実際配賦率=¥2,800,000÷2,700時間=¥1,037/時間

◎予定配賦率=¥30,000,000÷30,000時間=¥1,000/時間

 

(計算のポイント)予定配賦率は年単位から月単位に換算して計算してもOK。

◎予定配賦率=(¥30,000,000÷12ヶ月)÷(30,000時間÷12ヶ月)
=¥2,500,000÷2,500時間=1,000円/時間

 

製造間接費の予定配賦といえばコレ!

先の例題では予定配賦率が¥1,000/時間となるため、当月の予定配賦額は次のように計算される。

◎予定配賦額=(予定配賦率)¥1,000×(当月の実際機械稼働時間)2,700時間=¥2,700,000

したがって予定配賦額¥2,700,000と実際配賦額¥2,800,000とを比較することにより、¥100,000の製造間接費配賦差異(不利差異)が計上される。
原価計算を勉強中のあなたなら、ここまでは問題ないはずだ。

ここで生じた原価差異の原因分析こそが、製造間接費(予定配賦)のメインともいえる原価差異の原因分析なのである。

 

製造間接費配賦差異の原因分析

では、改めて実際配賦額と予定配賦額の計算式を比較してみよう。

◎実際配賦額=(実際配賦率)¥1,037×(実際機械稼働時間)2,700時間=¥2,800,000

◎予定配賦額=(予定配賦率)¥1,000×(実際機械稼働時間)2,700時間=¥2,700,000

上記の計算式を比較してみると、実際配賦額も予定配賦額もともに実際機械稼働時間を用いて配賦額を計算していることが確認できる。
したがって、製造間接費配賦差異が生じた原因が配賦率の違いにあることは一目瞭然だ。

では、なぜ配賦率が異なるのだろう?

これを調べるのが製造間接費配賦差異の原因分析なのである。
それでは今度は実際配賦率と予定配賦率の計算式を比較してみよう。

◎実際配賦率=(当月の実際製造間接費)¥2,800,000÷(当月の実際機械稼働時間)2,700時間=¥1,037/時間

◎予定配賦率=(月間の製造間接費予算)¥2,500,000÷(月間の予定機械稼働時間)2,500時間=¥1,000/時間

上記の計算式を比較すると、配賦率の違いには次の2つの原因があることがわかる。

(原因その1)実際製造間接費¥2,800,000製造間接費予算¥2,500,000の違い。

(原因その2)実際機械稼働時間2,700時間予定機械稼働時間2,500時間の違い。

原因その1は製造間接費の実際発生額と予算額との違いによるものなので、これを「予算差異」という。
原因その2は機械の稼働時間(これを操業度という)の違いによるものなので、これを「操業度差異」というのである。

 

2つの差異分析方法

固定予算

予算差異と操業度差異を算出する場合に注意しなけらばならないのが、「固定予算」と「変動予算」という2つの考え方である。

固定予算というのは、操業度に関係なく製造間接費予算を一定額(固定)の予算としてみなして計算する方法である。固定予算は計算が簡単な分、正確な数字が算定できず、“簡便的な計算”として用いられるケースが多い。
固定予算を用いる場合の予算差異と操業度際は次の公式で算出する。

◎予算差異=実際発生額-(固定)予算額

◎操業度差異={基準操業度(予定の操業度)-実際操業度}×予定配賦率

実際に先の例題で計算すると次のようになる。

◎予算差異=(実際発生額)¥2,800,000-(予算額)¥2,500,000=¥300,000(不利差異)

ちなみに有利差異・不利差異の判定については、実際額が予算額を上回っているため「予算オーバーした」=「不利差異」と考えると解りやすいだろう。

◎操業度差異={(基準操業度)2,500時間-(実際操業度)2,700時間)}×1,000円/時間=¥200,000(有利差異)

実際の稼働時間が予定の稼働時間(基準操業度)を上回っているので、「予定していた以上に稼働させることができた」=「有利差異」と考える。
逆に、実際の稼働時間が予定の稼働時間(基準操業度)を下回った場合は「作業効率が悪く、予定していたように稼働できなかった」=「不利差異」と考えると理解しやすい。

したがって、予算差異¥300,000(不利差異)と操業度差異¥200,000(有利差異)を通算すると、製造間接費配賦差異¥100,000(不利差異)に一致するのである。

 

変動予算(公式法)

変動予算とは製造間接費予算を「変動費と固定費に分解」することで、より正確に原価差異を計算する方法として用いられる。この場合の予算差異と操業度差異は次の公式で算出する。

◎予算差異=実際発生額-製造間接費変動予算額※1

◎操業度差異=(基準操業度-実際操業度)×固定費率※2

※1:製造間接費変動予算額は製造間接費を固定費と変動費に分解し、固定製造間接費+実際操業度における変動製造間接費で求める。
※2:固定費率は固定費予算額を基準操業度で割って求める。

ただし、上記の公式を丸暗記するのはおすすめできない
テキスト等の解説をみると、グラフを使った図(シュラッター図という)で原価差異の計算を説明してあるはずだ。実際、このグラフが一種の公式みたいなもので、上記の計算式を丸暗記するよりは憶えやすく、かつ簡単なのである。
それに何と言っても、図を描くことで「自分が何をしているのか?」をビジュアル的に理解できる点がこの図を使う最大の利点なのだ!

ここはじっくりと腰を据えてグラフの「描き方」を練習して欲しい。もちろん最初は解答・解説を読みながらで構わないし、少々意味が分からなくても気にしなくていい。まずは「自分の手」で実際にグラフを書いてみることが肝心なのだ。
はっきり言ってグラフの作成手順はパターン化しているので、2~3回練習すれば直ぐに描けるようになる。
また、ここで学んだ原価差異分析に使うシュラッター図は後々学習する「標準原価計算」でも再び使用することになる。是非とも現時点で完璧にマスターしておきたい。

シュラッター図の作成手順については下記のブログ記事で順を追ってわかりやすく描き方を解説しているので是非参考にしてほしい。

◎簿記・虎の穴 #23 製造間接費配賦差異の原因分析 変動予算(公式法)の場合

 

まとめ

製造間接費の予定配賦といえば、メインは原価差異の原因分析である。
ここは日商簿記2級でも頻繁に出題される項目なので確実に解答できるようにしておきたいところだ。特に変動予算で差異分析させるケースが多いので、シュラッター図を何度も描いて練習しておこう。
たま〜に固定予算での差異分析も出題されるので、こちらもお忘れなく(^^)

最後にシュラッター図をマスターするコツを伝授しておこう。
それは「グラフの意味を考えながら描くこと」だ。
予算差異や操業度差異を計算する際に「どことどこの数値を比較しているのか?」など、予算差異や操業度差異の意味を考えながら描くことで理解が深まることだろう。

 

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